星の夜

夏。ギラギラと照りつける日差しが、白い校舎に反射し、天国のような真っ白な世界を作り上げている。

そこに、白鳥と呼ばれる彼女と、菖蒲と呼ばれる私がいた。

山奥にぽつりと建てられた私たちの学園は和洋折衷建築で、異彩を放っていた。壁や柱は全て純白で塗装されており、 経年劣化をまるで感じさせない校舎は、時間が止まっているようで、美しくもどこか不気味な外観だった。

檻のような校舎に隣接する寮は、百人にも満たない珍しい生き物を閉じ込めておくのにちょうどいいガラス張りの建物だった。

寮は三階建てで、外からは、誰が何をしているか筒抜けだった。

一階のキッチンからは、いつも甘い匂いが漂っているので、生徒たちはいつも菓子に誘惑されていた。その二つの奇妙な檻の周りには、広く深い森林が建物取り囲んでいて、私たちは常に何かから隔離されていた。

白い時計の白い針が十二時を指すと、待ちに待ったお昼休みに入る。校舎の周囲は無法地帯と化す。

退屈な授業にうんざりしていた女子生徒たちが、一斉に出て来て、水溜りで緩くなった地面の上を駆け回る。

白い制服に泥がはね、瞬く間に体中を泥まみれにしていった。

地面からしっかりと根を生やした木の葉は、力強い緑の色彩を放ち、校舎の白さと相俟って、強烈なコントラストをなしていた。 彼女たちの足元に生い茂る草や、その葉には、昨日の夕立が残していった露が、宝石のように煌めいていた。 その光景を見ていると、菖蒲はいつも、一瞬、ここは天国かと思い込んでしまう。 しかし、決まって、もう一人の不確かな自分が、それは思い違いで、ここはちょっとした地獄に過ぎないよ、と囁くのだった。

確かに、天国にしてはあまりに騒々しかった。